斬新な発想で生まれた新商品の舞台裏をご紹介。商品が生まれた技術と背景や、商品がヒットするワケを、現場に立ち会ったビジネスプロデューサーがこっそり教えます。

第17回 超小型カラーCCDカメラハンディミニ
           〜プラムネット株式会社

「あえて大手が撤退する市場を狙ってアナログで開発したんです」ペン型アナログ小型カメラの開発のきっかけに話が及ぶと、普段穏やかな物腰の山口光太郎社長の言葉に力が入りました。

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やり手技術系営業マンの独立!

プラムネット株式会社の山口社長は、もともと冷凍プラントの大手メーカーで技術営業マンとして活躍していました。トップクラスの営業成績を上げて いたものの、入社後10年ほど経ったころに組織の枠の中で仕事をすることへの窮屈さを覚え、自分の意思でやりたいことを決められる環境を作るため退社を決 意しました。その後、アパレル・クリーニング業界向けケミカル消耗品の製造会社に就業し、平成2年にファブレス型メーカーであるプラムネットを立ち上げま した。設立当初は、アパレル業界向けに、製造機械や関連機器の企画・製造販売を行ってきました。もともと営業だったこともあり、バブル崩壊の中でも堅実に 事業を伸ばしていきます。大手酒造メーカーからお燗温度測定器を受注するなど、法人向け中心に受託型の商品企画開発で事業を伸ばしてきました。また業務用 に開発したスチームシワ取り機が通販会社に採用されたことから、一般消費者向け商材も手掛けるようになります。しかし、そこそこ売れ始めると類似品が出た り、企画型商品の流行自体が終わったりすることが多く、山口氏は常に新商品のアイデアを探していました。

撤退企業が多いアナログカメラ業界をあえて選択し、成功した山口光太郎社長

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最高の機能は不要!

常に新商品開発のネタを探している山口氏は、取引先のアパレルメーカーの製造現場で商品の品質チェックをするために使用されている拡大カメラに目 を付けました。このカメラは、布に開いた小さな穴がひっかきキズなのか虫食いなのか確認するために、品質管理工程で使用されていましたが、拡大倍率は高い ものの移動しにくい大型のものでした。製造現場の作業員との話の中で、簡単に移動できて使いやすくリーズナブルなカメラがあればそれを使いたいという潜在 ニーズがあることを感じた山口氏は、取引先のレーザー発信機の開発会社と共同で、小型カメラの開発に着手します。ほとんどのカメラメーカーがデジタル化に 向かい、アナログカメラ業界から大手が撤退することで逆に確実な市場が残ることを感じていた山口氏は、敢えてアナログタイプでの開発を選択しました。アナ ログカメラは相対的にコストが安く、モニターとしてテレビも使えたからです。コンパクト化を図るための最適なパーツ調達は困難を極めましたが、コストを下 げるためにできるだけ市販のパーツを使用しました。メンバーの総力を挙げて開発を始めてから約1年後ついにペン型アナログ小型カメラの商品化に成功しま す。画素数などの機能面では他社の先行品にはかなわないものの、そのコンパクトさとリーズナブルさに製造現場から徐々に支持が集り、発売後累計で数千台の販売実績を上げました。

製造現場の品質管理工程で活躍するペン型アナログ小型カメラ。徹底的な小型化がヒットの秘訣

SECRET OF SUCCESS

「市場ニーズを捉える目」が成功の要因

同社の成功ポイントをまとめると次の3つになります。1つ目は、山口氏の市場ニーズを捉える目です。山口氏は取引先の製造現場などで、常に潜在ニーズを探ることを習慣化しています。

2つ目は、積極的なPRです。カメラ発売の当初、製造業の業界専門誌へ有料で広告出稿して認知度アップを図りました。また有望な顧客には積極的にサンプル提供し、高い確率で受注獲得につなげることに成功しました。

3点目は、自由な社風です。山口氏は、自由な環境で生まれる創造性を大事にし、5人の社員にも就業時間中でも気分転換のためにフラッと外出したりして気分転換を図ることを勧めています。この社風が山口氏の独創的な発想を次々と商品として実現する原動力となっています。

横浜をベースに山口氏の独創的な視点と自由な社風で次々と新しい商品を世に送り出し続ける同社の成功は、会社に活力を生む新しいスタイルを提示してくれているのではないでしょうか。

よろめきの新商品開発

折角の高性能小型カメラ、業務用だけに留めておくのはもったいないということで、一般向けに使いやすい新しいビデオカメラのスタイルを開発中。これができれば結構画期的。ヒントはスポーツ。完成が楽しみです。

Company Profile

  • プラムネット株式会社
  • 代表取締役社長 山口 光太郎
  • 住所  神奈川県横浜市西区楠町9-5
  • TEL  045-312-6016
  • FAX  045-312-6077
  • URL  http://www.plumnet.jp

【執筆者 内田研一 プロフィール】

“たのみこむ”サイトを運営する株式会社エンジンのビジネスプロデューサー。中小メーカーの新商品の企画・開発から実際の販売までをプロデュースする「NIPPON STLYE PROJECT」を推進中。他雑誌連載、講演等多数。
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